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洋画家立川広己画伯更新情報総合トップページ | |||
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立川広己 タチカワヒロミ
Hiromi Tachikawa
立川広己(たちかわ ひろみ)は、日本の洋画家、専業画家である。
来歴 1949(昭和24)年8月1日 東京都品川区に生まれる。 武蔵野美術大学にて洋画を学ぶ。 若き日よりフォービズムに憧れ 自由奔放に また豪放なタッチが織り成す装飾的な世界を創り上げる。 一方、自由美術展には、生と死をテーマに大作を発表し続けている。 |
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洋画家 立川広己、作風の概要
若き日より佐伯祐三の作品、フォービズムに憧れ 自由奔放に また豪放なタッチが織り成す装飾的な世界を創り上げる。 立川広己WORLDとして広く知られている、 桜をはじめ生花などを描いた作品群や、 自由な線を取り入れ画面に動きを与えた「Jazz」シリーズなどの作品群等では、 たくさんのファンを魅了し続けている。 一方、自由美術展には、生と死をテーマに大作を発表し続けている (雑誌「美術の窓」2013(平成25)年2月号 216頁、217頁、218頁、 雑誌「一枚の絵」2012(平成24)年12月号、 雑誌「一枚の絵」2019(平成31)年1月号70頁、71頁、72頁、73頁)。 |
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自由美術展での作風
佐伯祐三の作品を初めて目にした感動が、 画家 人生の中で大きな意味を持つと 作家 立川広己自らが語っている。 ファンをたくさん抱える明るい作風とは対照的に、 自由美術展では、暗い、人間をモチーフにした作品を出品し続けている。 この点、 立川広己は、 雑誌「美術の窓」2013(平成25)年2月号 「作家がいた 立川広己−自由美術展における近年発表作の全容−」の記事内にて、 以下のように表現している。 「私達が誕生した瞬間、死に向かって歩んでいかなければなりません。 まさしく、それは修行であります。 紆余曲折、一人一人歩みに違いがありますが、 死に直面した時こそ、今までの修行の真価が問われるのではないでしょうか」 と語っている。 自由美術展での 立川広己の作風につき、 高山淳は以下のように評論している。 「死を考えることは、生の意味を問うことに等しい。 偶然によって誕生し偶然によって死ぬ人生は、 その与えられた時間を自覚的に生きることによって意味が生じる。 そんな思想を実存主義と呼ぶ。」とし、 「第二次世界大戦後に サルトルを中心にして起こった 実存主義の思想が、 昭和24年 生まれという画家 の世代には深く浸透しており、 暗い絵はどうしても描く必要がある。 それをベースとして大衆的な絵を描くことが出来る。 「画家であることの自覚、 その源泉に、死が存在するのである。」 と評している。 (雑誌「美術の窓」2013(平成25)年2月号 216頁、217頁、218頁、 雑誌「一枚の絵」2012(平成24)年12月号) |
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画歴
1949(昭和24)年 東京都品川区に生まれる。 1972(昭和47)年 武蔵野美術大学に学び卒業。 1984(昭和59)年 日仏現代美術展入選。 1986(昭和61)年 上野の森絵画大賞展佳作賞受賞。ニッポン放送賞受賞。 1986(昭和61)年 フジテレビ「朝のテレビ美術館」にて作品が放送される。 1986(昭和61)年 入賞作品「時の停止」が上野の森美術館買い上げになる。 1989(平成 元)年 自由美術展にて佳作作家賞受賞。 1989(平成 元)年 自由美術協会会員に推挙される。 1989(平成 元)年 全国有名百貨店(新宿伊勢丹他)巡回。個展開催が始まる。 1991(平成 3)年 現代精鋭選抜展記念大会にて金賞を受賞。 1993(平成 5)年 自由美術協会より安井賞候補作家展出品に選ばれる。 1996(平成 8)年 作品「華宴」F150号が経済産業省(工業技術院)買い上げとなる。 2001(平成13)年 沖縄平和祈念堂主催平和記念美術展へ招待される。 2005(平成17)年 NHK北九州支局テレビ出演。 2006(平成18)年 フランス全土取材旅行。 2006(平成18)年 上野の森美術館「作家の視点展」へ招待出品。 2008(平成20)年 テレビ東京「なんでも鑑定団」出演。 2009(平成21)年 東京有楽町フォーラム「アートフェスタ」に出席をする。 2012(平成24)年 全国有名百貨店巡回個展を開催する。 2013(平成25)年 イギリス取材。画業40周年記念展を全国で開催。 2014(平成26)年 イタリア取材。 2015(平成27)年 ベルギー・スイス・ドイツ取材。 2016(平成28)年 オーストリア・ハンガリー・イギリス取材。 2017(平成29)年 東京・銀座の画廊にて個展開催。 2018(平成30)年 東フランス取材。 2019(平成31)年 東京・銀座の画廊、伊勢丹浦和店にて個展開催。 現在 自由美術協会会員、日本美術家連盟会員。 |
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主な発表作品
概要 1986(昭和61)年 上野の森美術館買い上げとなる。 「時の停止」F100号 1991(平成 3)年 現代精鋭選抜展記念大会にて金賞を受賞 「深紅の薔薇」F10号 1996(平成 8)年 経済産業省( 工業技術院)買い上げとなる。 「華宴」F150号 2001(平成13)年 沖縄平和祈念堂へ作品 「ピナイサーラの滝」F30号 を寄贈。 2003(平成15)年 「ねじれ」F100号 (京都国際芸術センター「現代美術の断面 日韓2000?2009中期の現況」176頁) 2003(平成15)年 自由美術展「朽ち果てる」 (雑誌「美術の窓」2013(平成25)年2月号 216頁、217頁、218頁) 2008(平成20)年 「大地の詩・古木」F100号 (美術年鑑社「春夏 日本の美V 日本の四季 高階秀爾監修」157頁) 2008(平成20)年 自由美術展「時(今)」F100号 (ARTBOX「保存版 現代美術アーティストファイルU」134頁、135頁等) 2009(平成21)年 自由美術展「トルソ―(男と女)」 2011(平成23)年 自由美術展「ぬけがら2」 2012(平成24)年 「助けてください」2012年自由美術展作品。 外部リンク 立川広己「助けてください」 (雑誌「美術の窓」2013(平成25)年2月号 216頁、217頁、218頁) 2013(平成25)年 「浮遊する物体」F100号 2013年自由美術展作品。外部リンク 立川広己「浮遊する物体」 (生活の友社 美術の窓の年鑑「現代日本の美術」2014年版 179頁) 2013(平成25)年 「赤富士」F10号 2014(平成26)年9月 「大地が割れる」F100号 2014年自由美術展作品。外部リンク 立川広己「大地が割れる」 (生活の友社 美術の窓の年鑑「現代日本の美術」2015年版(Vol.23) 177頁) 2015(平成27)年 「終美」F100号 2015年自由美術展作品。外部リンク 立川広己「終美」 (生活の友社 美術の窓の年鑑「現代日本の美術」2016年版(Vol.24) 149頁) 2016(平成28)年 第80回自由美術展「横たわるトルソ」 2016年自由美術展作品。外部リンク 立川広己「横たわるトルソ」 2017(平成29)年 「崩壊する街」F100号 2017年自由美術展作品。外部リンク 立川広己「崩壊する街」 生活の友社 美術の窓の年鑑「現代日本の美術」2018年版(Vol.26) 144頁 2018(平成30)年 「戦うトルソ」2018年自由美術展 作品。 外部リンク 立川広己「戦うトルソ」 更には、自由美術展「女のポーズ(U)」、自由美術展「或る風景V」、 「ぬけがら」F60号、 「パリの裏町」F20号、「パリの裏町」F20号、「光のある風景」F15号、 「赤い屋根の見える風景」F15号、「悠久の古木」F30号、 「祭・華」F20号、「静・華」F15号、「悠久の梅吹雪」F20号、 「ドルドーニュの立冬」F30号 「幸せの山」油彩4号、「ジャズと赤薔薇」油彩4号、「情熱の盛り花」油彩10号 「秋の舞台」油彩15号、「黄昏の古都」油彩6号、「ヒップ」油彩4号、 「赤いトルソ」油彩6号、「赤い中で」油彩4号、「うつぶせる」油彩3号 [23] |
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沖縄平和祈念堂へ作品収蔵について
1991(平成3)年 現代精鋭選抜展記念大会にて「薔薇」F10号 が金賞を受け、 翌年1992(平成4)年より、 新宿伊勢丹美術画廊他、 仙台藤崎、岡山天満屋、 大阪 阪神百貨店、 静岡伊勢丹、 札幌三越美術画廊にて、 薔薇図を中心に作品を発表する。 その独特の表現により注目を集め、 沖縄平和祈念堂主催、平和美術展に招待を受けた。 この第二十三回沖縄平和祈念チャリティー絵画展における作品 「ピサイサーラの滝」F30号沖縄平和祈念堂美術館に寄贈された。 これに対して、同作品を寄贈し 那覇市 の美術文化平和活動に尽くされた功績により、 那覇市の親泊康晴 市長より感謝状を受けており、 同作品は、 沖縄平和祈念堂ロビー展示場に、展示収蔵されている。 |
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主な作品収蔵先
経済産業省 上野の森美術館 東京都品川区 沖縄平和祈念堂 埼玉県社会年金課 学校法人 中村学園 埼玉県春日部市 埼玉県行田市 埼玉県所沢市 山形県山形市 北海道紋別市博物館 その他主要市町村 |
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個展開催
1989(平成 元)年 1990(平成 2)年 1991(平成 3)年 1992(平成 4)年 1993(平成 5)年 1994(平成 6)年 1995(平成 7)年 1996(平成 8)年 1997(平成 9)年 1998(平成10)年 1999(平成11)年 2000(平成12)年 1月21日〜1月26日 新宿伊勢丹美術画廊個展 4月6日〜4月11日 鶴屋福岡支店美術画廊個展 7月19日〜7月23日 広島天満屋美術画廊個展 10月17日〜10月26日 東京・銀座・美術館一枚の絵個展 12月24日〜12月30日 京都大丸個展 2001(平成13)年 1月2日〜1月6日 福岡岩田屋百貨店・美術画廊個展 2月16日〜2月18日 京急百貨店美術展出席 3月8日〜3月11日 長野東急絵画展出席 6月21日〜6月24日 立川伊勢丹絵画展出席 7月25日〜7月30日 金沢丸越百貨店・絵画展出席 9月6日〜9月10日 広島福屋八丁堀店・絵画展出席 10月12日〜10月17日 札幌三越個展 2002(平成14)年 1月15日〜1月21日 岡山天満屋個展 2月4日〜2月10日 沖縄平和美術展出席 2月13日〜2月17日 京急百貨店上大岡店美術展出席 3月1日〜3月6日 宇都宮東武百貨店美術展出席 3月19日〜3月28日 東京・銀座・ギャラリー一枚の絵個展 4月10日〜4月15日 小倉玉屋・絵画展出店 5月15日〜5月20日 福山天満屋個展 6月6日〜6月12日 静岡伊勢丹美術画廊個展 7月17日〜7月21日 名古屋高島屋絵画展出席 8月1日〜8月5日 大阪京阪絵画展出席 8月15日〜8月20日 新宿伊勢丹絵画展出席 10月16日〜10月20日 鳥取大丸絵画展出席 12月25日〜12月29日 大阪京阪絵画展出席 2003(平成15)年 1月22日〜1月28日 新宿伊勢丹絵画展出席 2月4日〜2月9日 高松そごう個展 4月9日〜4月13日 福岡鶴屋個展 4月23日〜4月28日 浦和伊勢丹個展 7月16日〜7月22日 名古屋高島屋絵画展出席 9月3日〜9月8日 佐賀玉屋絵画展出席 11月25日〜11月30日 札幌三越美術画廊個展 12月24日〜12月30日 大阪阪神百貨店絵画展出席 2004(平成16)年 1月26日〜1月27日 下関大丸 にて個展開催 3月13日〜3月15日 沖縄平和祈念堂チャリティー展 参加 3月24日〜3月30日 熊谷八木橋百貨店・美術画廊個展 5月14日〜5月16日 北海道紋別市の絵画展出席 8月27日〜8月31日 新宿伊勢丹 にて個展開催 9月2日〜9月8日 静岡伊勢丹 にて個展開催 11月1日〜11月3日 別府トキワ百貨店・美術画廊絵画展出席 2005(平成17)年 2月22日〜2月28日 岡山天満屋個展 3月17日〜3月23日 横浜高島屋絵画展出席 5月4日〜5月10日 浦和伊勢丹個展 6月29日〜7月5日 千葉松戸伊勢丹個展 9月8日〜9月11日 大阪京阪百貨店絵画展出席 11月10日〜11月3日 米子天満屋絵画展出席 12月16日〜12月20日 大阪阪神絵画展出席 2006(平成18)年 1月18日〜1月21日 府中伊勢丹絵画展出席 1月25日〜1月31日 神戸大丸個展 2月21日〜2月28日 東京・池袋東武絵画展出席 3月24日〜3月26日 一枚の絵国際フォーラム絵画展出席 4月19日〜4月24日 浦和伊勢丹美術画廊個展 6月19日〜6月24日 熊谷八木橋美術画廊個展 7月21日〜7月27日 仙台藤崎百貨店美術画廊個展 9月14日〜9月22日 東京・一枚の絵銀座美術館個展 11月1日〜11月5日 千葉柏そごう絵画展出席 12月20日〜12月25日 大阪阪神百貨店・絵画展出席 2007(平成19)年 2008(平成20)年 1月23日〜1月29日 神戸大丸美術画廊個展 2月20日〜2月24日 沖縄平和美術展出席 4月9日〜4月13日 高崎高島屋絵画展出席 6月17日〜6月23日 札幌三越個展 8月28日〜9月2日 大阪近鉄上本町店個展 12月23日〜12月29日 大阪阪神絵画展出席 2009(平成21)年 2010(平成22)年 2011(平成23)年 2012(平成24)年 2013(平成25)年 1月15日(火)〜1月26日(土)東京・銀座の画廊、ギャラリー一枚の絵 にて個展開催 2月6日(水)〜2月12日(火)名古屋三越栄 美術サロン にて個展開催 3月6日〜 仙台藤崎 にて個展開催 3月12日〜3月18日 小田急新宿 にて個展開催 5月13日〜5月15日 高松三越 にて個展開催 6月6日〜6月11日 東京・吉祥寺東急個展 横浜そごう店 にて個展開催 12月18日〜12月24日 大阪阪神美術画廊個展 2014(平成26)年 2015(平成27)年 3月2日(月)〜3月14日(土) 東京・銀座の画廊、ギャラリー一枚の絵 にて個展開催 2016(平成28)年 2017(平成29)年 東京・銀座の画廊にて個展 2018(平成30)年 2019(平成31)年 東京・銀座の画廊にて個展開催 画業45周年記念。「生け花」をメインテーマとした個展。 1月12日(土)には ライブパフォーマンスを披露した。 2月21日〜2月26日 ながの東急百貨店(長野市) 絵画展、特別コーナーに出展、出席 3月20日(水)〜3月26日(火) 伊勢丹浦和店7階美術画廊(さいたま市浦和)にて個展開催 |
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画集 2019年2月現在で、一枚の絵株式会社から、既に10冊以上、 立川広己の世界、として画集が発刊されている。 |
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関連項目 佐伯祐三 実存主義 瀧悌三 立川 日本の画家一覧 美術家の一覧 フォーヴィスム 武蔵野美術大学の人物一覧 洋画家 |
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個展に対する評論記事
「美じょん新報」第233号、2019(平成31)年2月20日発行「評壇」4頁によると、 「立川広己、2019年1月7日〜1月19日、一枚の絵」開催の個展について、 著名美術評論家、瀧悌三による評論が以下のように掲載された。 「「華」と題した花図と桜花との連作画一群。いずれも、華麗な色遣いで通す。 ベネツィア運河、フィレンツェ郊外等の海外を主に、 富士、奥日光を加えた風景画一群。描写の堅実さが即魅する。」 |
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特集記事。原色、AKA(赤)
雑誌「一枚の絵」2009年12月号、No460「立川広己のAKA(赤)」51頁〜59頁において、 立川広己ワールドの「赤」の特集記事が掲載された。 この記事によれば、 「赤」を初めて意識したのは、 1991年現代洋画精鋭選抜展第20回記念大展覧の出品依頼をされたときからだと、立川は語る。 それまでは色々な技術や画風に手を染めていたが、 ハタと気が付いた今まで意識的には使うことのなかった原色、 特に「赤」を積極的に取り入れることだった。 たとえば、パリでよく見られる風景のように、 モノトーンの古壁の中で赤や緑のカフェのテントが映えると、 大変おしゃれに見えてくる。 このような原色の美しさを意識して描いて誕生したのが、 出世作となった「赤い薔薇の図」であり、 金賞を頂くことが出来たと語る。 これを機に画家人生をかえた原色「赤」は、立川広己ワールドに欠かせない色となる。 「これからも自分ならではの「赤」を味方にもって、 可能性を求めて、いろいろなことにチャレンジしたい」と立川は語る。 「赤」が用いられた作品群「秋の舞台」油彩15号、「黄昏の古都」油彩6号では、 いつかどこかで見た風景、遠い記憶を呼び起こす夕影の、 懐かしく癒しの色「赤」心象風景、との評価。 「ヒップ」油彩4号、「赤いトルソ」油彩6号、 「赤い中で」油彩4号、「うつぶせる」油彩3号では、 生命、高貴な印象の赤いトルソを描き甘い想像力がかき立てられる、との評価。 「幸せの山」油彩4号、「ジャズと赤薔薇」油彩4号、 「情熱の盛り花」油彩10号 など「赤」を用いた代表作品群が紹介された。 |
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「世界中に希望と情熱を与えてくれる『赤い薔薇』」 『赤い薔薇』。三科次郎による寄稿記事 雑誌「一枚の絵」2009年12月号、No460「立川広己のAKA(赤)」55頁では、 著名報道カメラマン(CNNシニアカメラマン)、三科次郎による 「世界中に希望と情熱を与えてくれる『赤い薔薇』」 という記事が寄せられた。すなわち、 立川の力作『赤い薔薇』を眼にして、立川は絵筆、三科はレンズと、 職種は違っても同じ土俵にずっといたことを確信した、 と言う。 光が創りだす日向と影、明と暗。 画家もカメラマンも、光がなくては、何も創造することも出来ない無力の塵になるはずである。 これに対して、『赤い薔薇』では、 1、心温まる光が創りだす赤い薔薇一輪一輪、それを束ねる壺が描かれている。 2、そこには、陽の下の赤でも、淡い光の下での赤でもない、 ただ重く存在感のある重厚な「赤」が、 誠に不思議な光で描かれている。 ところが、この『赤い薔薇』の絵には、プロのカメラマンとして、 とても理解しがたい光の世界があり、矛盾を感じる、 のだと三科は語りだす。すなわち、 光の道が無い、明暗がほとんど無い、薔薇の花びら一枚一枚に 光が溶解してしまったかのような印象がある。 もしも、光の道があると仮定するのならば、 それは、この絵を見つめる人のみが知り得る光の道があり、 明暗があるのかもしれない絵である。 いずれにせよ、ここに描かれた光こそが、 「薔薇の「赤」」を、 希望の「赤」と、情熱の「赤い」発色に、浮き上がらせているのは間違いない。 おそらく、作者の心と芸術、立川広己ワールド、だけが創り出せる「光の道」なのであろう。 更に、赤い薔薇を束ねる壺が、想像力の源である光を満身に受け、 ますます我々を元気づけているようにみえる。 以上のように、大切な光、芸術と人生の根幹となる光が、 『赤い薔薇』の中に希望を持って見つけることが出来るのだ、 と三科はいう。 三科はプロの報道カメラマンとして、湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争をはじめ 世界の数々の紛争を、レンズを通して眼にしてきたが、 同じ「光」でも、「破壊する光」は、なんの希望も生み出すことはない。 複雑で無軌道な「光の道」の向こうに見えるのは、「闇」しかない。 これに対して、「立川広己の描く絵の「光」」、つまり「赤色」は、 この世界に命をもらった全てのものに平等に「希望」と「情熱」を与えてくれる。 そして、三科は、寄稿文の最後を「立川広己しかなせぬ「光の魔術」に乾杯」 と結ぶ。 |
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参考文献
雑誌「美術の窓」2013(平成25)年2月号 216頁、217頁、218頁、 2019(平成31)年1月号 279頁、他各号 雑誌「一枚の絵」2009(平成21)年12月号 2012(平成24)年12月号 2015(平成27)年3月号 78頁、79頁、80頁、81頁、 2019(平成31)年1月号 70頁、71頁、72頁、73頁、他各号 *ARTBOX「保存版 現代美術アーティストファイルU」134頁、135頁、 *生活の友社 美術の窓の年鑑「現代日本の美術」 2014年版 179頁、 2015年版(Vol.23) 177頁、 2016年版(Vol.24) 149頁、 2017年版(Vol.25) 126頁、 2018年版(Vol.26) 144頁、他各号 *京都国際芸術センター「現代美術の断面 日韓90年代後期の現況」150頁 *京都国際芸術センター「現代美術の断面 日韓2000?2009中期の現況」176頁 *美術年鑑社「日本の美X 富士山 高階秀爾監修」272頁 *美術年鑑社「春夏 日本の美V 日本の四季 高階秀爾監修」517頁 「美じょん新報」第233号、2019(平成31)年2月20日発行「評壇」4頁 雑誌「一枚の絵」2009年12月号、No460「立川広己のAKA(赤)」51頁〜59頁 |
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tachikawagahaku.takara-bune.net 2019(平成31)年 2019/03/03(日)更新文 2019/02/25(月)更新文 2019/02/22(金)更新文 2019/02/12(火)更新文 2019/02/09(土)更新文 2019/01/09(水)更新文 |
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